志賀高原(長野/群馬) 赤石山(2100m)、湯ノ沢ノ頭(2010m) 2022年5月7日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:32 登山口−−5:10 林道−−5:46 大沼池北端−−6:05 赤石山分岐(休憩) 6:14−−7:05 県境稜線−−7:29 赤石山(休憩) 7:37−−8:18 湯ノ沢ノ頭(休憩) 8:47−−9:35 赤石山(休憩) 9:42−−9:54 県境稜線を離れる−−10:14 赤石山分岐−−10:29 大沼池北端−−10:52 林道を離れる−−11:10 登山口

場所長野県下高井郡山ノ内町
群馬県吾妻郡中之条町
年月日2022年5月7日 日帰り
天候
山行種類湯ノ沢ノ頭山頂付近を除き残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口付近の路側に駐車
登山道の有無湯ノ沢ノ頭山頂付近を除きあり
籔の有無残雪に埋もれて無し
危険個所の有無無し
冬装備6本爪軽アイゼン、ストック
山頂の展望赤石山:360度の大展望
湯ノ沢ノ頭:北東方向と横手山方向に開ける
GPSトラックログ
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コメント2日前の未丈ヶ岳の疲労が色濃く残っているため近場で残雪が楽しめそうな湯ノ沢ノ頭へ。さすが志賀高原は標高が高く未丈ヶ岳より格段に雪質が締まって歩きやすかったが、疲労のため大沼池まで行くだけでも苦労し赤石山へ登るのも非常に苦しかった。ここ2年の小雪と違ってまだ残雪がたっぷりとあり、強烈な根曲がり竹に覆われた湯ノ沢ノ頭南側は広く残雪に覆われて簡単に山頂に立つことができた。赤石山からは北アルプスの大展望で立山、剱岳も見えた




大沼池への遊歩道入口付近に駐車 遊歩道入口。残雪で道があるとは分からない
遊歩道 樹林帯では積雪で夏道不明
完全に道を失った状態 緩やかなピークを越えて夏道発見!
林道に合流 こんな状況で雪はカチカチ
アイゼン装着。以降はしばらく装着したまま歩いた 大沼池北端。まだ池は凍っていた
大沼池周辺は風が弱く水面に山並みが鏡のように映っていた
水たまりは薄く氷が張っていた ここもアイゼン必須
大沼池東側。トイレとレストハウス 案内標識は半分雪に埋もれて読めない
夏道不明で適当に東を目指す 読図により夏道があるはずの尾根にたどり着く
夏道の標識。大沼池〜赤石山間を30等分しているようだ 尾根を登っていく
ここで左にトラバース 僅かに新雪あり
県境稜線に乗る 県境稜線の大沼池分岐標識
赤石山を見上げる 稜線の南側は残雪あり
稜線直上はほぼ無雪 赤石山山頂直下
大沼池を見下ろす 赤石山山頂は岩のてっぺん
赤石山山頂から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
赤石山山頂から見た槍穂〜常念山脈〜裏銀座〜立山、後立山(クリックで拡大)
赤石山山頂から見た槍穂
赤石山山頂から見た後立山、立山、剱岳
赤石山山頂から見た横手山 赤石山山頂の岩
赤石山山頂直下の祠 赤石山山頂標識
この先は本格的登山道との表示 群馬県境トレイルの標識
赤石山東側は平坦で残雪豊富。夏道は埋もれる 樹林の隙間から湯ノ沢ノ頭が見えた
稜線南側を歩いていたが下りが始まると藪が出ており稜線へ 稜線へ復帰。一面の残雪
北側には岩菅山。苗場山〜佐武流山間には越後駒ヶ岳、中ノ岳が見えていた
再び夏道に乗る これは古い標識
1960m鞍部 数日前の足跡
湯ノ沢ノ頭へ登り返し 標高1990m付近
山頂直下 後ろを振り返る
湯ノ沢ノ頭山頂。残雪帯が最高点 本当の山頂は根曲がり竹藪の中
湯ノ沢ノ頭山頂から見た北東方面
湯ノ沢ノ頭山頂から見た南西方面
鞍部から赤石山への登り返し 尾根が広がると残雪帯に突入
南の展望。南側は群馬県なので榛名山などが見えた 越後駒ヶ岳と中ノ岳
復路の赤石山 赤石山から西側のガレを見下ろす
県境稜線を離れて大沼池目指して下り始める 往路の尾根の西側の谷を下ったつもりだったが・・・
予想以上に谷が深く雪が消えてしまう 左岸を高巻き中
傾斜が緩んだ場所のみ雪が残る 残雪復活
平坦地に到着。帰宅後に軌跡を見たら東側の大きな谷を下っていった トイレ&レストハウス
新しい足跡 大沼池の湖面は青い
足跡の主。2人組だった 久しぶりに見たネズコ
林道を離れて夏道の埋もれた樹林帯へ 間もなく遊歩道起点
火山活動測定装置 川の中の謎のパイプ
間もなく遊歩道起点 遊歩道起点


 まだ未丈ヶ岳の疲労が色濃く残った状態だが、大型連休の残りは3日ほどある。1日目は未丈ヶ岳から下山翌日なので丸々休養日に充てる計画だが、残り2日は天候がいい予報で山に出かけたいところ。しかし最終日の日曜日は早い時刻に自宅に戻って休養したいため、あまり遠くに出かけるのは得策ではない。かと言って土曜日は最高気温が30℃近い予報で近場の低山では暑過ぎる。山の選択にいろいろ悩んだが、近場で標高が高く涼しく残雪も期待できて、しかも体力的に厳し過ぎない条件を満たす山として志賀高原の湯ノ沢ノ頭を選択した。

 この山は20年位前に登ってはいるが、登山道は山頂を巻いており志賀高原特有の根曲がり竹の激藪で周囲が見えず、平坦な山頂部で正確な山頂を踏んだのか自信が無かった。今年は残雪が多く今の時期でもまだ雪が利用できて正確な山頂を踏めるだろうと考えた。ルートは大沼池から赤石山経由の一択だ。

 金曜夜に出発したが志賀高原は近場なので2時間もかからず大沼池入口に到着。ここまでの車道には雪は無いが車道以外にはまだ残雪が見られ、遊歩道入口も雪に埋もれて見えない状態であった。これなら稜線の残雪も予想通り期待できるだろう。遊歩道入口から少し下って湧水がある平地で車中泊。さすが標高1700m近くあるので夜は冷え込んだ。2日前の奥只見より標高1000m近く高いからなぁ。

 翌朝、朝飯を食って明るくなってから出発。今回のルートではまさかピッケルを使う場面は無いだろうとピッケルは持たなかったが、念のため6本爪軽アイゼンは持った。さほど時間はかからないだろうと予想して水、飯は少なめとした。

 出だしから雪の上を歩くが、奥只見と違って表面はツルツルで平坦な場所ではどうにか歩けるが、斜めになった場所ではアイゼンが必要そうだ。すぐに橋で川を渡るが川底には得体の知れないパイプが2本這っていた。水源用?

 樹林が開けた場所は残雪があっても遊歩道がどこにあるのか分かる程度に周囲の雪が減っているが、シラビソ樹林帯に入ると残雪量が増えて夏道がほとんど分からなくなる。何となく古い足跡が見られるので参考にはなるが、それが正しいルートなのか判断に苦しむため地形図を広げて破線の大まかな位置を確認。まっすぐ大沼池に向かうわけではなく北側を流れる横湯川沿いに至るまでは傾斜が極緩い幅が広い尾根らしくない尾根を歩く必要があり読図が難しい。まあ、本格的にルートが分からなくなったら北上して横湯川まで直線的に進んで、その左岸を進めば林道に出るはずだ。

 予想通り本格的にルートが不明になり横湯川沿いまで進んでみたが、沢は深く傾斜も急で沢沿いを進むのは不可能そうだった。ここで地形図を見ると夏道は小ピークを越えているので進路を東に変更し高まりを目指す。幸いにしてこの付近の植生は根曲がり竹ではなく八ヶ岳のような苔生したシラビソ樹林で、雪が無くても歩きやすかった。

 緩やかなピークを越えると木の間隔から夏道らしき筋を発見。そこにはこれまで見た古い足跡が断続的に残っていたので間違いなさそう。この足跡の主は夏道を歩いた経験があり雪で道が隠れてもルートが分かるとしか思えない。シラビソ樹林帯では目印等は皆無で、雪があると夏道の存在は全く分からず、夏道が出ている場所はごく一部だけであった。

 直線的に森を歩いて抜けると地形図に出ている林道が登場。以降は大沼池まで林道歩きである。ただし大半の区間で路面は残雪に覆われて雪が消えた路肩を歩くことが多かった。路肩まで雪に埋もれて斜面と同じ傾斜の雪面になっている場所では、滑れば横湯川に落ちてしまうので軽アイゼンを装着した。傾斜が緩ければアイゼン無しで歩けるが、アイゼンが必要な場所がポツリポツリと登場するので、県境稜線に乗るまではアイゼンは装着したままだった。

 長い林道歩きで大沼池北端に到着。まだここから見える池の範囲はごく一部でその大きさが分からなかったが、池の北東岸を時計回りに歩いていくと全景が見えるようになり、思ったよりも大きいことが分かった。池と湖の定義の差を知らないが、湖と言っていいのでは?と思えるくらいの面積があった。水は火山性の成分が溶け込んでいる影響か、それとも深さの影響か、目が覚めるような鮮やかな青色であった。

 池の岸辺の遊歩道も大半が積雪に埋もれていてアイゼンの出番があった。道の水たまりには薄い氷が張っていて、地表付近は0℃以下まで下がったようだ。どうりで雪が固く締まっているわけだ。

 池の東側に広い平坦地があり、ここから赤石山への登山道が分岐する。ここには2つの建物があり、小さい方はは公衆トイレで大きい方はレストハウスとのこと。まだ半分積雪に埋もれてどちらも利用不能であった。

 ここまで大した登りは無くほぼ水平移動だったので、通常の私の体力ならこのまま休まずに赤石山を目指すのだが、2日前の疲労が濃くて足が重くてたまらず休憩。この体調で本当に湯ノ沢ノ頭までたどり着けるのか心配になるほど。連休前は白山方面まで足を延ばす予定だったが、この状態では遠出しても標高差1000mを登るのは不可能だっただろう。近場の適度な山に切り替えて正解だった。

 休憩を終えて赤石山を目指すが、レストハウス付近は一面の残雪で夏道が全く分からない。レストハウス付近に赤石山分岐点を示すと思われる標識が辛うじて頭だけ出ていたが道は全く分からない。仕方がないので方位磁石で東を確認して進み、夏道があるはずの尾根が現れるまで進む。周囲に似たような尾根があるので尾根の方向は方位磁石で慎重にチェック。

 それらしい尾根が登場したところで尾根に乗る。末端付近も雪に埋もれて夏道は見えないが、少しだけ上がると木の階段が見えたので一安心。しばらくは夏道は尾根を上がるが木の階段のある部分は木と木の間の雪解けが進んでいるようで踏み抜きが多く歩きにくく、逆に道以外の場所の方が踏み抜きが無く快適に歩ける。尾根を外さない範囲で夏道以外を登っていく。

 地形図によると夏道はこのまま尾根を最後まで登るわけではなく、途中から左にトラバースして県境稜線に合流している。尾根上に岩がある等のそうすべき理由が何かあるのだろう。今は大半の斜面が雪に覆われているのでルートの自由度は高く、夏道もほぼ雪に埋もれているので適当に登ればいい。夏道がトラバース開始する付近まで達すると尾根上方の雪が消えて根曲がり竹藪が出ているのが見えたので、そこに突っ込む前に左へトラバース。雪を伝って浅い谷を越えて一つ左側の小尾根に取り付いて僅かに登ると県境稜線に乗り上げた。

 県境稜線直上は雪が溶けて明瞭な夏道が出ていた。でも、いつアイゼンが必要な場面が出てくるのか不安なのでしばらくアイゼンを履いたまま歩いたが、雪が残っていても斜面のトラバースのような場所は無かったので途中でアイゼンを脱ぐ。さすがに6本爪の軽アイゼンでは付けても脱いでも足の重さに大差は無かった。

 県境稜線では2,3日前のものと思われる1人分の足跡を発見。足跡はずっと連続しているわけではなく時々残る程度で形も不明瞭で、東方向へ歩いたものか西方向なのかは判別できなかった。もしかしたら大沼池までの遊歩道で見た足跡と同じ人の物だろうか?

 ほとんどはシラビソ樹林帯を歩き、赤石山直下で岩峰が登場して樹林が開け、岩峰を巻いて火山性の砂礫の散らばる開けた斜面を登り切った岩の積み重なったピークが赤石山山頂だった。前回登った時の記憶は皆無で初登頂の気分だ。岩のてっぺんなので遮るもののない360度の大展望であったが、今日は天気はいいが空気の透明度がイマイチで、特に関東方面の遠い山並み、丹沢、奥多摩、奥秩父等は霞んでしまって見えないおそらく通常なら富士山も見えるであろうが影も形もない。見えるのは群馬県内の山並みで、ごつごつした同じような高さのピークがいくつも並んだ山並みは榛名山だろう。その左側の峰々は赤城山のはず。ギリギリ見えている浅間山の左側には鼻曲山、浅間隠山が双耳峰のように並んでいる。その右側のひときわ大きいピークが横手山で、山頂の電波塔まで肉眼ではっきりと見える。

 横手山の右側に並んだ真っ白な峰々は北アルプスで、空気の透明度が悪く霞んではいるが、南端の穂高連峰から後立山北端の朝日岳まで見えていた。後立山南部の爺ヶ岳、鹿島槍、五竜岳付近は本来はあるはずがない余分なピークがあるが、これは奥の立山、劔岳が後立山と重なって見えているためだ。鹿島槍の右側のピークが剱岳で、爺ヶ岳があるはずの位置に見える真っ白な平らなピークの山が立山。爺ヶ岳は立山中腹に紛れてしまって肉眼では判別できない。さらに右手には白馬三山、雪倉岳、赤男山、朝日岳と続き、一塊に重なった妙高、火打の右手の山は容雅山に不動山。

 東に目を向けると岩菅山〜烏帽子岳が一段と大きく、その右手に苗場山、佐武流山と続く。苗場山〜佐武流山の鞍部に見えている遠い山並みは越後駒ヶ岳と中ノ岳。残念ながら2日前に登った未丈ヶ岳等は越後駒の裏側になるので見えない。

 赤石山の登りでかなり疲労したので展望を楽しみながら休憩した。最終目的地の湯ノ沢ノ頭は赤石山からだとシラビソ樹林が邪魔をして見ることはできなかった。そういえばシラビソ樹林は今年初めてかも。積雪期から残雪期に登った山々は、はほとんどがブナを中心とする落葉広葉樹林が広がる山ばかりであった。

 休憩を終えて出発。山頂直下に祠があり、昔から登られていたことが分かる。祠のすぐ近くの樹林の中に山頂標識があり、群馬県境トレイルの標識もあった。このルートは三国峠〜白砂山の間が長期に渡って道が無かったが、近年になって登山道が開かれて秘境だった上ノ間山、忠次郎山、上ノ倉山、大黒山等が比較的手軽に登れるようになった。ただし、これらの山々は登山口から遠く日帰りで登るには健脚が必要だし、営業小屋は無いので1泊で歩くには重い荷物が必要。

 この先はしばらくは下り基調だが、帰りはこれを登る必要があるのを考えると憂鬱になる。傾斜が無く幅が広い尾根では豊富な残雪で再び夏道が埋もれて適当に進む。シラビソの密度が減って日当たりがいい場所が多く日焼けしそうなので、顔に日焼け止めを塗った。

 2080m峰付近では稜線の南側が平坦で広くなったところでそちらを進んだが、1960m鞍部に向けて下りが始まると残雪が切れて一面の根曲竹藪に変わったので、まだ雪が残る稜線へと登り返した。素直に稜線直上を歩けばよかった。

 急な下りは雪が消えて夏道かと思いきや、尾根幅が広い影響の方が強いようで豊富な残雪で夏道は見えない。傾斜が緩むと稜線北側に残雪が豊富なためそちらを歩いたが、部分的に雪が消えて根曲竹藪を突っ切る場面があり、県境稜線の夏道に復帰した。鞍部付近は夏道が連続して出ていた。

 湯ノ沢ノ頭へと緩やかな登りに変わると二重山稜となりルートが分かりにくいが、北側の尾根に夏道がある。ただしすぐに夏道は雪に埋もれて不明となり、歩きやすい残雪帯を登っていく。地形図では1991m峰を過ぎて登山道は稜線直上から南を巻くようにルートが変わるが、ここも雪の下で分からなかった。

 1970m鞍部を通過すると稜線南側に残雪があるが尾根直上と北側は藪が出た状態に変わるので南の残雪帯を登っていく。前回歩いた時は完全に無雪期だったので夏道の最高点から根曲竹の激藪を漕いで湯ノ沢ノ頭に登ったはずだが、今回は赤石山からの下りで湯ノ沢ノ頭山頂まで残雪が続いていることは確認済みであり、藪を避けて安心して歩ける。

 雪庇の溶け残りらしくいくつかの残雪の段差を越えると湯ノ沢ノ頭山頂に到着した。今の時期は残雪が最高点で、根曲竹に覆われた地面が出た部分は雪より下がった場所にある。湯ノ沢ノ頭山頂部は平坦であり明確な高まりは無く、前回登った時に本当に山頂に到着したのかよく分からないのも当然の地形であった。藪が出た最高点終点を見渡しても目印や山頂標識は見当たらなかった。

 湯ノ沢ノ頭は背の高いシラビソが生えているので赤石山のような大展望ではなく、岩菅山方向と横手山方向のみ開けていた。すぐ東側はダン沢ノ頭だがここは2006年に登っている。あの時はキャノンのデジカメのレンズ駆動機構がロックしてしまい撮影不能になった苦い記憶がある。梅雨の時期で雨が降っていたような。

 湯ノ沢ノ頭でも休憩。ここでは銀マットを敷いてザックを枕に雪原でお昼寝。南西の風がやや強いので風を避けられる凹んだ場所を選んだので快適だった。気温はおそらく2桁に達していないと思うが日差しは強く、風さえなければ体感的にはちょうどよかった。

 疲労によるスピードダウンと休憩時間の影響で、所要時間は想定よりも大幅に伸びている。時間的余裕はあるので問題ないが、持ってきた食料が少なかったのが悔やまれる。パンを1個齧ったがこれでは不足だった。ここからはお帰りのルートだが、赤石山まで標高差約150mを登り返さねばならないのがつらいところ。さらに腹が減りそうだ。

 休憩を終えて出発。1960m鞍部付近は往路でもそうだったが半端な残雪で夏道を外すと根曲竹藪に突っ込むことになり、雪のつながりを良く見たり夏道の位置を確認しつつ進んでいく。赤石山への登りにかかれば夏道が明瞭に出ており、途中からは豊富な残雪に乗りルート取りは自由になる。

 帰りも赤石山で休憩。往路よりも空気の透明度は若干良くなったような気がする。県境稜線を離れて大沼池方面に下り、往路では尾根の夏道を辿ったら木の階段間の空洞を踏み抜いて歩きにくかったので、尾根の西側の浅い谷を下ることにした。谷筋は雪が詰まって歩きやすかったが、想定と異なり途中から谷の幅が狭まると同時に傾斜がきつくなり、雪が消えて流れが出てしまっている。こんなに大きな谷だったかなぁと考えつつ雪が消えた左岸側を高巻き。幸いにしてこの高度では根曲竹藪ではなく比較的歩きやすい植生だった。

 やっと沢の傾斜が緩むと再び雪が現れて沢の流れは雪の下に。雪に埋もれた沢沿いを少し進むと更に大きな沢が右手に出てきた。往路ではこんなに沢に近い位置は歩かなかったはずだが。やがてレストハウスが見えたが、予想よりも左手(南)に現れた。往路の尾根より南側に降りたはずなのでおかしいと思ったら、帰宅後にGPSの軌跡を確認したら私が下った谷は夏道がある尾根の北側であった。どこでどう間違ったのか?

 大沼池周囲の遊歩道には新しい足跡があり、私の他に入った人がいることが判明。私は雪が固く締まった時間帯にここを歩いているので、自分の往路の足跡は見えないのであった。まだ雪が多く残って遊歩道の大半が埋もれている状態なので、普通の観光客ではなく登山者かもしれない。

 帰りの時間帯は気温が上がって日差しもあり、雪が適度に緩んで傾斜のある雪面のトラバースでもアイゼンが不要になっていて楽ができた。私はできるだけ雪が無い場所を歩いたが、足跡の主も同様だった。林道を歩いていると前方に2名の男性の姿が見えた。遊歩道にあった新しい足跡の主で、手に持っているのはストックではなく木の枝であったが、足元はトレッキングシューズ。ただしスパッツは装着していない。まあ、この雪質だとほとんど沈まないし踏み抜きも無いのでスパッツは不要であるが。様相からして観光客というより登山初心者レベルだろうか。疲れた私の足よりも進みが遅く、林道の雪解け場所が広くなった箇所で私が先行した。その後も私と彼らの速度差は大きく、いつの間にか姿が見えなくなった。

 このまま林道を進んでもいいが、往路の樹林帯の中の遊歩道の方が歩く距離は短くて済むので、帰りも往路と同じルートで。といっても相変わらず樹林帯の中は雪に埋もれて夏道不明であり、往路の記憶と微かに残る古い足跡を頼りに樹林帯を突破すると無事に夏道に乗っていた。

 往路では気付かなかったが橋の南側の草地に何やら箱が設置してあったので近付いてみると火山観測機器とのこと。地震計などであろう。この付近は古い火山ばかりで新しい火口は無いと思うが、草津白根山や元白根山以外でも観測を行っているようだ。

 橋を渡れば遊歩道起点のカーブはすぐそこで、残雪を越えて舗装道路に到着した。


 今回は予想以上に疲労が抜けておらず、通常なら軽いコースのはずが脂汗をかくほど苦しかった。やはり若い頃と違って疲労回復にかなり時間がかかるようになったらしい。本当は明日もどこか登る予定だったが、この体力では無謀なので翌日は自宅で丸一日休養した。

 

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